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医薬品卸の変貌(へんぼう)

こんにちは、ブレイブワンコンサルティング代表の岡本です。東海地方を中心に、より良いクリニック作りを院長先生と共に取り組んでおります。宜しくお願い致します。

最近当院に来て頂く卸さんとの会話の中で、「あれが改善されました!」「それも今はゼロになったんです!」というフレーズが並ぶことに驚きを隠せません。

私のいた時代も変わっていましたが、退職してから聞くともっと驚きのことが改善されています。今日はこんな医薬品卸のあれこれを話したいと思います。

医薬品卸とは?

医薬品卸(いやくひんおろし)は商品である「医薬品」「医療雑品」などを販売し、代金を回収しています。三共(現在は第一三共)や武田、山之内(現在はアステラス製薬)など昔はメーカーによって色づけされていましたが、今はほぼフルラインの製品をもって対応しています。

卸自体も合併に合併を重ねて大きくなり、アルフレッサ、メディセオ、スズケン、東邦という4大卸が90%以上を占める寡占状態になっています。このあたりは私のいた頃と同じですが、おそらく今はさらに高くなっていると思います。

基本的には当日の19時までであれば、納品は翌日になります。他業種の方も同じだと思いますが、卸の有難さに改めて御礼を述べたいと感じるほど、行き届いたサービスを受けていると言ってよいでしょう。

そして平日だけでなく土曜日や日曜日も関係なく配達していたので(得意先はそれほど感謝していないと思いますが)、本当に有難すぎる職種です。

他にも急配(急ぎの配送)にも対応していますし、回収も今月はマズいんで来月にしてくれと自由に言えるほど。今から25~35年ほど前は何でも通ったくらいの恐ろしく買い手が強い業界でした。

正直私の勤めていた時代はまだそういう時代でしたので、比較的業界を良くしたいと思っていた私は得意先にも話をする事が多く、いろいろと圧を受けたものです。

営業職の方とも意見交換をする機会が多かったですが、医薬品と聞くだけで「ええ~、よくやってられますね」と尊敬?(多分違う意味のでしょうね)されたものです。

しかしそんな神様?のような卸にも、変化がありました。それは、国の強い関与でした。

薬価制度の仕組みと卸の活動

本来は自由経済ですので何をしていても全く問われる事はないのですが、医薬品経済は違いました。そうです、それは薬価制度が大きく関与しています。

何度も申しますが自由経済ですので、取引云々に関しては国から規制がかかることはないはず。しかし医薬品を販売しているのが問題でした。

医薬品販売は薬価制度という仕組みの中で行われ、薬価制度は国が得意先に各県の支払基金が支給しています。ですので薬に関しては国が財源を握っているといえますし、医療機関も国の意向に敏感にならざる得ないのです。

このように医薬品は国が握っているので使い方にも口をはさんだり、購入にもメーカー・卸に対して非常に強く注文をつけてきました。

卸に言われたことは、とにかく安く売り過ぎだ、業界の構造が悪すぎる、将来は薬価差ゼロにするぞ、等々とにかくひどい?(たしかに一理ある)事を言われてきました。

薬価改正明けの価格は非常に厳しいのですが、半年もすれば安くなると交渉は年間の終わりということもザラでした。得意先も卸をなめ切っていたといっても過言ではない状況。

しかしそんな立場にいながらも、少しずつ少しずつ前進し価格回復に努めていったのです。正直そこまでしないと生き残っていけない環境だったとも言えます。

細かい話は別の機会にしますが、このように医薬品卸は変わらざるえない状況に追い込まれていたのです。

卸の役目

医薬品卸の頑張りで、医療界も少しずつですが変わってきています。

例えば土曜日は休みなんですが、得意先の要望で急配(というか定期配送ですが)が丸1日分の軒数があり、終わるとヘトヘトにるくらいでした。これを得意先1軒1軒に何度もアピールし、なくすことに成功しました。

また卸は毎日来て当たり前でしたが、これも行動改革をしてどんどんwebでの訪問を増やしたりしています。おかげで2週間に一度訪問でOKという先もあります。

また支払いの悪い先への回収強化として、販売ストップ策や未払いを半年以内に解消するなど、かなり厳しい方法も普通にできるようになってきています。

もちろん言うのは簡単ですが、ここまで来るのにも多くの方の努力の上に成り立っていることは忘れてはいけないですね。

このような取り組みを重ねて、ようやく医薬品卸も普通の商社マンに近づいた気がします。本当の意味でのパートナーとして、医療経営改善を一緒にしていく仲間になれた気がしています。

まとめ

卸さんの変貌について超特急で話して参りましたが、ご理解頂けたでしょうか?

私も36年間も卸にいたので、本来ならもっと書きたいことはたくさんありますが、このあたりが良い量かなと思います。もちろん卸にはまだまだしなくてはならない事がたくさんございます。

その中でも大きい課題は「利益獲得」。医薬品卸の正味利益、いくらか知っていますか? 10%?8%?残念ながら・・・1%強というのが事実です。売り上げは大きいんですが、利益はたった1%。

だからこそ各卸はこぞって利益拡大に必死です。トップを走るメディセオを筆頭に、各卸がどうしたら利益がとれるのかを一生懸命考えながら日々取り組んでいます。

お得意先の方も当ブログをご覧になって頂いていると思いますが、ぜひ医薬品卸を再度注目して頂きたいと心から願います。


<編集後記>

医薬品卸のことを触れましたが、いつの世も企業は大変な環境でやっています。中国のことをいろいろ言う方はみえますが、少なくとも今はそんなことはありません。

例えば自動運転もかなりイケてる感じですし、ロボット業界も中国はかなり先をいっています。あるデータによれば、中国のAIに対する意識はすごくて、約70%以上の方が積極的に活用したいと述べています。アメリカでも35%でしたが、日本はたったの15%くらいでした。

自動運転やロボットなど必ず伸びるものへの投資や活用は必須ですから、私たちもどんどん積極的に運用していかないとインターネット初期の頃の繰り返しになるやも知れません。

若者たち、気張れよ!


ブレイブワンコンサルティング

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