「当院は、患者さんファースト!で診療致します 」
「患者さんの満足度こそが、一番重要!」
このような理念や目標を、各クリニックさんでよくお聞きするようになりました。これはこれで大変良い事だと思います。医療機関もサービス業だから、患者さん目線で考えることが大事だとコンサルタントも声高に叫び、クライアントである医療機関に徐々に浸透しつつあるようです。しかしこういう考えは、他の産業でははるか以前から言っていることで、やはり医療界はこういう面でも遅れを感じます。
どうして医療機関は、上から目線なの?
そもそもですが、患者側から見れば医療機関は上からです(苦笑)。もちろんそうでない先もたくさんありますが、基本的にという意味です(フォローになっていませんか?)。私もこんな嫌味を言うかと申したくはありませんが、営業マン時代から各クリニックの患者対応を拝見するたびに感じていたからです。その度に、何故こういう対応になるのか、スタッフも上からになるのかと考えていました。
私は事あるごとに、医師が特別扱いされるのが一番の問題だと話してきました。確かに簡単にはなれない職業で、命を助けたり、症状を改善することの出来る素晴らしい職業です。これには間違いはありません。ただ職業の一種であり、従事している人達が特別ではないと思っています。仕事は生み出す成果には、確かに大小はあります。私のようなコンサルタントの生み出す成果と、腕の良い外科医の生み出す成果は同じではないとも思います。しかしそれと人物とは別物です。医者だから偉いという図式は、間違っているはすです。
また経済面でも差がありますが、それがイコール人間の差では決してありません。医者で稼いでいる方でも、人間的には良くない方も多い。社会的地位、経済力が最優先の資本主義社会ですが、決して人間力がつりあっているわけではないのです。
ただ現実問題として医師はいろいろな面で優遇されますし、医療機関の院長となればさらにですね。だから勘違いした医師がいたり、勘違いしたスタッフも存在し、結果的に医療機関は上から目線になるのだと感じています。
しかし幸いなことに、医療機関は増えてきました。開業するクリニックも後を絶ちません。病院での勤務の過酷さを敬遠して、開業する医師は今後も増えるのではと思います。地域差は大きいものの、開業医過剰になれば否応なく「患者さんファースト」にならざる得ないのです。私たち患者にとっては、良い時代になってきましたが。
これからの開業医の在り方 3選
開業医過剰時代、患者さんファースト時代になれば、医師もスタッフも当然進化していかなくてはなりません。
患者を診てやるという視点から、来院頂いて本当に有難い!という視点への変化が非常に大切です。私は地方在住ですが、場所によっては車で10分ほどで同じ科の開業医がありますから、気に入らなければ変わればいいんですね。
またセカンドオピニオンという意識も徐々に広がってきましたし、口コミを参考にするのは今や常識。医療機関といえど、競争の波にさらされていきますし、そこにこそ進化の道が開かれています。安穏としていては、はるか後方に置いていかれる時代になりました。
その辺りを含めて、今後の開業医の在り方を探っていきます。
1.「患者さん第一主義、患者さんファースト」などの言葉だけでなく、本当の意味をよく考えて理解すること。よくある表面的な捉え方では決して良い対応は出来ませんし、相手に伝わらないのです。言い換えれば、真剣で熱い想いは必ず届くもの。私は営業職時代に、この原理原則が正しいことを勉強することが出来ました。またコンサルタント経験の中でもたくさんの成功例を得ることが出来たのです。
2.その上でどうしたら患者さんに喜んで頂けるかを、院長は考えて実践しなくてはいけません。院長が真剣でなければ、スタッフには伝わらず、患者さん対応は絵に描いた餅に終わるでしょう。院長よりも数の多いスタッフに想いを感染させて、実践してもらわねばなりません。これが出来るかどうかがポイント。
3.スタッフに感染させることが出来たら、ようやく具体的に何をしていくかを話し合う時です。ここではテクニック的な事は申し上げませんが、愚直に実践し検証していく積み重ねを全員で体験して下さい。ここを飛ばして、枝葉のテクニックばかりに走っては本末転倒。
大変な想いをしてこそ得られるものも大きいのですから。
まとめ
いかがでしょうか? 具体的なスキルよりも本質的なことに触れましたが、ご理解頂けましたでしょうか?
大した想いがないのに表面的なテクニックで取り繕ったり、テクニックばかりに走る医療機関さんも実際多いのですが、患者さんはバカではありません。必ず化けの皮ははがれますので、王道を進んでいって欲しい。
全員で汗をかいて、苦労した経験こそがチームワークを生み出します。頑張って下さいね。