こんにちは、医療コンサルタント会社「ブレイブワンコンサルティング」代表の岡本です。東海地方(愛知、三重、岐阜、静岡)をメインエリアとして、開業前から開業後までのクリニック作りを専門としています。宜しくお願いします。
先日、ドクターズチャート様のyoutube動画を拝見していましたら、MCの先生お二人と開業前準備中の先生のお話をお聞きしました。開業前の医師の気持ちを知る上で非常に興味深い内容でした。同時にこうすればいいのに・・・という想いも湧いてきましたので(お節介ですが)、本日のテーマに取り上げたいと思います。
目次
開業前の状況は?
開業する前の医師は大半が勤務医だと思います。勤務医は外来、入院管理、オペ、当直など大変お忙しい状況だと察します。
そんな日々を過ごしながら開業を決意する過程にはいろいろな想いと、ご家族との話し合いなどもあるでしょう。こんなクリニックを作り、あんな診療をしたい!という想いが膨らむ時期でもあります。しかしいざ動き出そうと思っても、いったい誰のアドバイスを信じていいのかわからない状態だと思います。
もちろん初めての事ですし、とにかく忙しい状態で大きな決断をするわけですので、自分だけではどうにもこうにも決めることが出来ない。誰か助けて!と思うのも当然ですね。
知り合いのツテを探したり、銀行に相談したり、土地関係の方に相談する場合もあるでしょうし、ホームページで見つけたコンサルタントに全て任せるケースも多々あります。
開業前支援をお願いする方とは?
開業前のドクターに関係する人たちと言いますと、
- 銀行
- 医薬品卸
- 医療コンサルタント
- 税理士
- 設計・建築関係
あたりでしょうか?
どの方々もクリニックの開業に関してはキーマンですので、どこかの部分で関係しているのは事実。
銀行は資金面、事業計画のプロで、診療圏調査も行えます。開業候補地でどれくらいの収益を上げるかを試算し、そのためにはいくら事業資金が必要か、借入をどうするかなどの相談はうってつけです。
医薬品卸は社内に開業コンサルタント部署もありますので、事業計画書も作成可能。開業用地選定や医療機器などの選定は本業ですので、大丈夫です。
税理士は税務のプロですし医療機関を顧客としているところなら、開業前の事業計画書や給与設定、スタッフ募集なども行います。経営コンサルタントを謳う事務所もあります。
設計・建築関係の業者さんも、クリニック建築はもちろんですが候補地選びや経営コンサルティングを謳う先もあります。
こうしてみると更に迷いそうですし、結局どこでも良いのでは?と思いがち。実際に卸や税理士事務所さんが開業前支援をされるケースが最も多いのではないでしょうか?
選択としては間違ってはいないのですが、正解でもないような気が・・・。なぜなら開業前コンサルタントで成すべきことを正確に理解しているとは限らないからです。
実は得意分野が違う各プレイヤー
「正確に理解していない?それってブレイブさんが自分のところで依頼させる為の言い分ですよね?」
そうですね、確かに依頼して頂きたいとは思っていますが(笑)、邪な考えから出ているわけではありません。開業前にしておかなくてはならないこと、開業後に気をつけていくことなど、クリニック経営のライフサイクルに合ったコンサルティングが出来ないと適切な指導になりませんし、全体の流れも充分理解していないと木を見て森を見ずになってしまいます。
実際にそういうケースや、そういう業者さんをたくさん見てきたから申し上げます。
当事者には開業はまさに人生の大きなイベントですが、業者は違う視点で見ています。簡単に言えば、開業さえクリアしてしまえばそれで仕事はOKというポジションの業者さん。
誤解を恐れ例を挙げれば、設計や建築系が代表的ですね。これは悪いという意味ではなく、そういう役割だからです。そういう会社が行うコンサルティングは、開業後もずっと付き合う業者とは自ずと違ったものになるのではないでしょうか。
「そういう意味なら銀行や卸、税理士さんですね?」
一理ありますが、それが正解ではないと私は考えます。
例えば卸には開業のノウハウはあっても、医療機関経営や運営のノウハウ・経験はありません。これは私が卸出身ですので、間違っていないと思います。また銀行や税理士事務所も同様で、部分的にはもちろん必須のパートナーですが、経営や運営、スタッフマネジメントのプロではありません。
もちろんダメというわけではなく、税理士さんがきちんと支援しているケースもあります。ここでお話しているのは、業態の確率論的な考えからです。
残る「医療コンサルタント」はどうかと言いますと、今までお話した視点でいけば最も適した業態でしょう。ただしコンサルタントも万能ではあなく得手不得手がありますので、そのあたりの見極めが重要になります。頼って任せきりにしていたら、実はたいしたノウハウや実績がなかった・・・なんてことも実際にたくさんあります。
「それじゃ結局どの業者さんがいいの?」
かえって混乱させたかも知れませんが、各プレイヤーの得手不得手をよく考えるのは重要だということです。
理想的な支援者を一人挙げるならば・・・
それでは理想的な相談相手をお話致します。結論から申しますと、レベルの高い医療コンサルタントが最適だと思います。
昔と違い、今は開業すれば成功するとは限りません。理念や想いをきちんと言語化し、スタッフや患者さんに的確に伝えていかなくてなりません。またスタッフマネジメントはクリニック経営では最大の課題で、上手くマネジメント出来ないと一斉大量退職という目にも陥りかねません
このような本質的で骨格となる部分からしっかり作りあげるアドバイスが出来て、院長先生への助言的確に出来るコンサルタントでないと、失敗する確率は上がってしまいます。
理想的なコンサルタントを挙げるとすれば、
- 目先ではない、経営や運営の本質的な要素を的確に把握し、先生に伝えて創りあげていくことが出来る
- 経営指標などに精通し、先生の実現した医療、エリア特性を鑑みて正確な数値を組み立てることが出来る
- 経験が豊富で、土地や建物、医療機器など外部業者と粘り強く交渉が出来ること
- 開業したら終わりではなく、開業後もしっかり指導助言が出来る
- 他人事ではなく、自分事としてとらえることが出来る
- 仕事にコミット出来て、信頼できる
このような資質やスキルを持ったコンサルタントとタッグが組めれば安心して診療に邁進出来ると思います。
お近くに理想的なコンサルタントがいない、どうやって探せば良いかわからない事の方が多いと思いますので、宜しければお知恵をお貸し致します。
良いコンサルタントが見つからない場合
医薬品卸の開業チームを主として、税理士さんや銀行さんなど他のプレイヤーの得意な部分を組み合わせてチーム化します。
卸の開業支援チームには専門で開業支援する人間はおりますし、医療機器の専任もおります。これに加えて地域に詳しい薬品の営業マンも参加してもらいます。卸は基本的にはボッタくりはないと思いますので、大丈夫です。
ただしクリニック経営やスタッフマネジメントはあまり詳しくないので、困った時は専門のコンサルタントを探す必要があります。
この提案は私が卸上がりだから申すのではなく、成果的にもコスト的にも有効な方法だからです。
経営やマネジメントに真剣に取り組みたい場合
まずはご自身が実現したい事、やりたい事を明確にすることです。ここがブレると依頼するコンサルタントも変わってきますし、提案内容の良し悪しの判断もブレてしまいます。
理念を考えて言語化し、目指す診療内容やスタイルを明確にする。この程度はしっかり考えておくべきです。その上で各業者と向き合う事が大切だと考えます。業者に言葉巧みに誘導され、本来とは違う場所に着地しても満足感は得られないでしょう。
私どもにご依頼頂かなくても、適切なコンサル探しのアドバイスくらいは致しますので、相談して下さい。
まとめ
今回は「開業前に頼るべき理想の相手とは?」というテーマで話を進めて参りました。いかがだったでしょうか?
全く無知の状態で開業をするわけですから上手くいかない、思った開業ではなかったという場合も出てくるでしょう。本当に恐ろしい金額を吸い取られた例も見てきました。そういう先生を今後出さない為にも、良い業者さんとお付き合い頂きたいと思います。
それでは、また次号でお会いしましょう。
編集後記
昨年夏頃からご支援させて頂いていたクリニックさんが、先月無事に開業致しました。
開業前から何度も何度も理念の大切さ、スタッフに対する想いとマネジメントの大切さ、そして患者さんを大事にする事を申し上げてきました。しつこいコンサルタントだなと思われているでしょうが、本当に一番大切な部分ですので貫いてきたつもりです。
今はわからなくても、開業後数年経って経営が思わしくない時や、スタッフ問題が起きた時に気が付くと思います。そうならない為の布石でもありました。
経営も運営も地域で一番のクリニックになって頂くよう、今後もしつこく、ウザく行きますよ!