こんにちは、医療コンサルタント会社「ブレイブワンコンサルティング」です。
元医薬品営業という立場で長年仕事をしてきました。専門は営業(販売)、マーケティング(リアル・Web)、チームマネジメントです。
病医院をビジネス目線で外から見る視点と、コンサルタントという内部からの視点をミックスしてクリニック経営に切り込みます。
「成果があがるコンサルティング」を信条としております。宜しくお願い致します。
前回号で「見えない不安を、見える課題にする方法」をお話致しました。先生方には簡単すぎる事かも知れませんが、意外と出来ていない方が多いのも事実。同じ悩みで堂々巡りをしていたり、ずっと未解決のままお蔵入りという事態もざらに起こっています。
今回はさらに進んで「可視化した不安を言語化する方法」をご紹介しましょう。順番的には、
- 見えない不安で漠然と悩んでいる状態
- 不安の正体をはっきりさせて、見える課題にする
- 課題を正確に言語化する
- 言語化された課題に対する解決行動を実行する
この一連の流れが確立出来れば、不安感や悩みをある程度払拭できると思います。
言語化するとは「頭の中にある不明瞭な考えを言葉にすることで明確にすること」です。解決出来ない問題もありますが、大概の課題は何とか出来ると考えます。
頭の中の考えを文字にする
普段、人間は頭の中で様々な事を考えています。生活の事、お金の事、家族の事、仕事の事、お昼何を食べようかという事まで、大事な事から雑多な事まで頭の中を駆け巡っています。
この現われては消える”頭の中の考え”は通常は覚えていなかったり、内容によってはしっかり記憶されたりします。先生の心を悩ます不安感、悩みなどは残っていると思いますが、水に浮かんだ波紋のように時々表面に現われてきて私たちを苦しめます。
この不安定で不明瞭な状態にある「悩みや不安」「課題」を、文字にすることで明確な課題にしてしまいます。経営者たる先生には是非身につけてほしいスキルです。
その方法ですが、まずは思いついた事を全て書き出すことをお勧めします。あれやこれや選択していると肝心の部分が抜け落ちたりしますので、とにかくまずは全部紙に書いちゃいましょう。
「俺ってこんな仕様もないことを、結構な頻度で考えているんだな・・・」
と自分の思考のクセに驚くこともあります。様々な事や膨大な量を考えていると思っていても、意外と同じ事を何回も何回も繰り返しているのに気づくかも知れません。この一連の作業は、録音した会議録を文字起こしするイメージです。
このように自身を客観視する為に、書き出す効果は効果抜群ですので是非お試し下さい。
雑然とした文字を、鮮明にしていく
とりあえず文字起こしした文字たちを、今度は鮮明にしていく段階です。例えば、こんな悩みを書き出したとしましょう。
- スタッフが言うことを聞かない
- お金はあるんだけど、一体何にいくら使っているのか実はわからない
- 患者が減っているような気がする。悪い噂でもたってないかな?
- 妻と喧嘩して、もう2週間か。ろくに口もきいてないな
- 長男は受験なのに、大丈夫なのかな?
- さっきの患者さん、面倒くさ~
- 早く休みにならんかな
- まだこんなに患者がいる。昼休憩も充分とれないかな
等々、いろいろな事を考えておられるはずです。ここで行うことは、この塊を選別しカテゴライズしたり、重複しているものを整理します。整理整頓されれば心も整理されて落ち着きを取り戻し、平穏を得られますし、解決策も考えることが出来ます。
スタッフ問題でしたら、
- 「全員か?いや古参の彼女だけだな」
- 「どんな時に言うことを聞かないのか?」
- 「無視する?いや、返事はするけど何か納得していない表情だ」
- 「患者さんのまわし方に関して話をする時に不服そうだ」
- 「患者さんのまわし方? ひょっとすると、あの事かな?」
漠然とした混迷した考えから、言語化し内容を精査することで原因を発見できたり、解決策まで行き着いたりします。これが言語化することで得られるメリットだと思います。
また言語化しておくと、同じようなケースにも使い回しが出来ます。解決への道のりを再現出来ますので、考えたエネルギーを無駄にしません。非常にエコなスキルでもあります。
まとめ
いかがでしょうか?人間の頭の中でループするネガティブな想いや考えは、実は非常に厄介なものです。時折想い出してはネガティブな気持ちになり、さらに増幅していきます。
このような敵はしっかり洗い出だすことが有効ですので、前回お話した可視化、今回の言語化のスキルは有効な解決策だと考えます。
特に現代はあまり書く事をしないようになりました。スマホやPCの功罪ですが、書く事は脳を刺激しますし、書いたものを見ることで思わぬ気づきを得ることも非常に多いと思います。私たちは早く辿り着く方法ばかりを探しがちですが、近道は実は得るものの少ない道であるのです。
遠回りに見える道こそ、実は一番の最短で最良の道であることをお忘れなく。