マネジメント方法

スタッフの環境作り、人間関係作りを考える

こんにちは、医療コンサルタント会社「ブレイブワンコンサルティング」です。

元医薬品営業という立場で長年仕事をしてきました。専門は営業(販売)、マーケティング(リアル・Web)、チームマネジメントです。
病医院をビジネス目線で外から見る視点と、コンサルタントという内部からの視点をミックスしてクリニック経営に切り込みます。

「成果があがるコンサルティング」を信条としております。宜しくお願い致します。

開業されている先生方共通の大きな悩みの一つは「院内の人間関係」、つまり「スタッフ問題」ですね。

一般的にクリニックのスタッフ数は、看護師さん1~3名と事務員3~5名くらいでしょうか? このわずか4~8名ほどの人間だけなのに人間関係は立派に?発生します。またその中で関係が上手くいかない場合も、当然あります。

スタッフ同士が仲たがいしたり、事務員と看護師部門で対立したり形は様々ですが、狭いクリニック内の人間関係の亀裂は結構なストレスになり、運営にも大きな障害となって結果として患者さんに悪い影響が出ることがあります。院長に直接手的な責任がないとしても悪い雰囲気になったり、離職者がたくさん出れば経営者の責任です。

大所帯は大所帯なりの、少人数は少人数なりの問題は必ず発生するものです。特に女性オンリーのクリニックは、人数に関係なくマネジメントに苦労する先生が多いとお聞きしています。

今日はそんなややこしい「クリニックの人間関係を、上手くコントロールする方法」を考えていきましょう。

価値観の変化

環境の変化は、その時代に生きる人の価値観を変えていきます。戦後のモノのない時代に生きた方からは、信じられないような豊かな時代。必要なものがない、欲しいものがないという人々がどんどん増えています。

反面、豊かな時代なのに人々が飢えて、心の底から欲しているものが存在します。それは「自分を認めて欲しいという感情」です。人間は社会的な生き物で、独りでは生きられない面を持っていますが、まさに皆が他人から賞賛されたり、認められたりしたい、精神的な充足感を求めて止まない時代になりました。

豊かになって物が充足すると、次のステージである「精神的な満足感」「他者とのつながり」を求めるようになります。しかし人間関係は究極の課題ですので、現実は人間関係に悩む人が増えているのが現状です。

スタッフの求めているものは?

そんな時代背景を受けて、スタッフが今求めているものとは一体何でしょうか?

前項で「自分を認めて欲しいという感情を満たすこと」だと申し上げた通り、相手の要望を叶えてあげるのが人間関係を良くする鉄則。

ここではスタッフになったつもりで、待遇面、環境面、そして雰囲気や働き甲斐などの精神的な面に分けて考えていきましょう。

待遇面

まず真っ先に思い浮かぶのは待遇面、まずはお金ですね。いくら関心が精神的なものに移ろうとしていても、自分の生活が成り立たなくてはいけません。

ここで考えたいのは、お金は必要だけどそれだけではないし、ある程度あればいいのでは?という事です。ですので相場から大きく逸脱していない給与が支払われていれば問題はないと思います。但し自分の感覚だけで決めていたり、昔に税理士さんに聞いた数字から何年も変わっていないようでは配慮不足、常に客観的な市場相場を知っておくことが大切です。

その気になれば簡単にリクルートサイトで調べがつきますので、定期的に調査しましょう。

また待遇につながる評価も、適正かつ公平に実施することが大切です。しかし現実は、継続して的確な評価を行っているクリニックは少ないように思います。客観的で公正な物差しではなく、院長の気分や感覚で評価していませんか?

出来れば個人ごとの目標を話し合って立案し、一定期間後(半年など)に検証し評価判定する時間を持って頂きたい。そして評価をフィードバックすることで、改善点が明らかになったり成長する機会を得ることが出来ます

適切な評価基準、公正な評価、的確なフィードバックをきちんとする事が、求められます。

職場環境

次に環境面に視点を置いて考えてみましょう。

次は働きやすさという環境面です。自院の就業時間、残業時間なども常にチェックすべき項目ですね。19時まで診療というクリニックも多いと思いますし、時々それ以上遅くなるという先も拝見します。患者さんを優先しての時間設定だと思いますが、働く人がどう捉えているかも大事です。要は時間設定の意義を理解して、納得感があるかという事ですね。最初によく話し合う必要があります。

また残業時間が多いクリニックも一考した方がいいかも。患者さんが多い先と効率が悪い先とに分かれますが、前者の場合は患者受け入れ数をコントロールする必要があるかも知れません。

後者の効率の悪い先は改善する必要があります。何が原因で遅くなっているのかを解き明かし、改善策を打っていきましょう。

他にも何かあった時に休みやすい職場であること、上司や先輩に相談しやすい環境などは地味ですが重要です。今は昔と違い、働き方・ワークライフバランスを重視する時代ですから、そこを大切だと考えないと採用に苦労することになりますよ。

働き甲斐

いよいよ本丸の部分に入りましょう。

人の価値観は様々ですので、一概に価値観と言っても多種多様だと思います。それぞれの価値観を満たす事は理想ですが、取り組む必要はもちろんあります。しかしここでは人間の普遍的な価値観を満たせば、遣り甲斐があって自己実現を果たせる職場になれると考えますので、その方向で考えていきましょう。

人間の本質的で普遍的な願望とは、一体なんだと思いますか?

何度も申し上げましたのですでにおわかりだと思いますが、それは「自分の価値を認めてくれて尊重してくれること」

非常にシンプルな答えで、要は自分のことを認めて欲しい、尊重して欲しい生き物なのです。私も先生もそこに関しては同じだと思います。普遍的な価値観、願望を表す言葉はいろいろありますが、突き詰めるとこういう事ですね。

答えは簡単なのですが、他の人に継続実行するのが結構難しい。なぜなら自分が一番大事で、他人は二の次というのが本質だからです。

こんな話をすると嫌がられますが、事実は事実、理解しないと良い人間関係を構築出来ません。スタッフのして欲しいことをすることが、スタッフとの関係作りには欠かせません。それでは具体的に探っていきましょう。

話をよく聞き、共感し理解を示す

自分の話したい事を話す時、人はSEXに似た強力な快楽を感じるそうです。つまり自分の話ではなく、相手の話を時間をかけてじっくり聴くこと。これが一番重要です。

特にクリニックは女性の職場。女性は話を聞いてくれて、共感してくれる人に好意を抱きます。男性には理解しにくいですが、しっかり聴いて共感することを実行しましょう。

ここで男性はやりがちですが、話をはしょって結論づけたり、アドバイスすることはタブー。求められたら別ですが、聴き役に徹することが相手から好意を持たれるコツです。

公平に扱う

誰もが好き嫌いはあると思いますが、スタッフとの会話や行動の中では一切NG。全員平等に接することも大原則です。

また発言にも注意しましょう。各種ハラスメントに該当することもありますし、女性は過去に言われて納得していないことなどをかなり記憶しています。先生方も苦い想い出(笑)がおありだと思いますが、そういう議論になると厄介ですのでご注意を。

仕事への遣り甲斐を一緒に見つける

スタッフさんにも様々なタイプの人がいますので、各人に合った落とし込み方や目標を設定しないと上手くいきません。

そういう意味でも、まずは1on1での面談を実施してよく理解することが肝心です。その上で各人に合った目標設定をして、当人にとっての遣り甲斐とクリニックの目標を上手くリンクさせると働き甲斐のある職場になるでしょう。

いくつか重要な項目を挙げましたが、これらは単独で成立するものではなく、相互に影響し合いながらスタッフの遣り甲斐を高めていくのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

人を使う、マネジメントする事はそう簡単ではありません。気持ちよく働いてもらわねばなりませんし、かといって甘やかしてばかりでも上手くいきません。だからこそ、クリニックの理念やビジョンをしっかり作り込んで、そこからブレないように運営していく必要がございます。

また女性特有の考え方を知ることも大切です。私たち男性とは全く違う考え方を持っていますので、心底理解は出来ないかも知れませんが勉強する必要もあります。これに関してはかなり長くなりそうですので(笑)、また次回以降に致します。

何にしても、スタッフこそが宝です。先生お1人では経営は出来ないことをよく理解し、良い人間関係を作って参りましょう。

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