医療DX

医療の未来予想図

オンラインのイメージ

三重県で医療コンサルタント業を営む「ブレイブワンコンサルティング」代表の岡本です。主に東海4軒を中心に、コンサルタントやアドバイザリーサービスをしています。宜しくお願い致します。

コロナ感染はとどまることを知らず拡大しており、全く気は許せない状況です。病院勤務の先生、開業医の先生共に大変忙しく、緊迫した日々をお過ごしかとお察しします。

厚生行政においては医療のDX化を図るべく、種々の政策を打ってきています。身近なところではオンライン資格確認ですね。すでにマイナンバーカードの受け入れ体制は整っておられますか?

今日はそんなDX化を中心に、どんな未来になるのかをシミュレーションしてみたいと思いますので最後までお付き合い頂ければ幸いです。

遅れている医療分野DXの現状

他産業に比べて医療界はまだまだアナログ的な部分が多く残っている、労働集約型の業界です。簡単に申し上げれば、医師や看護師、コメディカルの方々のマンパワー頼りという状態です。

もちろん人の知恵や技術、経験などは非常に大きな財産ではありますし欠かせないものですが、テクノロジーを上手く使うことでもっと効率的・効果的に医療を行う事ができるはず。そのあたりの仕組みが、まだまだ弱いのが課題だと感じています。

単品の医療機器や医療支援システムなどは各々進歩していると感じますが、機器同士の互換性や統一システムなどの面、つまりクリニック全体のつながりという面は遅れています。電子カルテの乗り換えが実質出来ないのも、最たるものですね。

また、”医療”と名がつくと一気にコストが上がる(上げている?)のも大きな問題。今のオンプレミス型の電子カルテは何百万円もしますが、正直そんなにすごい機能ではないと思いますし、実際使う医師からは出来ないことが多いと指摘もされています。

しかし競争が起きにくいのか、支払う側にゆとりがあるのか理由は様々ですが、このあたりも改善していかないと進歩は望めないと思います。

クリニック外来の変化

国もこのままではいけないとようやく重い腰を上げて、医療のデジタル化、DX化を指導しようと動き出しました。

手始めは「オンライン資格確認」。マイナンバーカードを普及させたい!医療ビッグデータを有効に使い、医療抑制を図りたい!という思惑から、来年4月から原則導入義務化されることはすでにご存じですね。当初の進展は芳しくなかったですが、ここにきてようやく動きの遅い?医療機関や薬局が、オンライン資格確認の体制を整え始めました。厚生労働省の問合せ電話窓口の方が仰ってみえましたが、あの無機質な自動音声を10分以上我慢しないとつながらないとか。当事者や取り付け業者さんは大変だと思います。

しかし本来目指すべき医療DXは、こんなレベルではないはず。政策誘導ではなく、本来目指すゴールを考えてみましょう。

政府の本音は置いといて(笑)、究極の目的は、

「デジタルテクノロジーの力で、患者さんの利便性を上げること」だと考えます。

例えば、診察予約のしやすさ、問診の簡便さと精度向上、自分の医療情報を的確に理解できる仕組み、そして開業医最大のテーマである「待ち時間の軽減」などが挙げられます。

IT機器を適切に利用することで、上記の理想に近づくことが可能になると考えます。DX化が進んだ「理想のクリニック外来」を想像してみましょう。

〇月〇日。少し咳が出るので近くのかかりつけのクリニックで診察しようか。今日はオンライン診療ではなく、リアルで行きたいな。

webで予約し、問診も自宅でゆっくり記入。

時間が近づいたメールを受けて、かかりつけのクリニックに向かう。

時間予約なので駐車場もそんなに混んでいない。

スマホで受付をすまし、待合室で待つ。

ほどなく呼ばれ、診察開始。医師はレントゲン写真や検査データを、いくつかのモニターに映し出し丁寧に説明してくれる。

診察が終わると処方箋をもらう。会計はキャッシュレス決済なので、クレジットカードから引き落とされる。

とこんな感じでしょうか。患者不満のワースト1位、2位の「待ち時間」「説明不足」を解消できる仕組みだと思います。

まとめ

今日は医療DX化の未来予想図をお話しましたが、すでに一部のクリニックでは当たり前のように現実化しています。

考えてみれば、医療だから時間がかかっても仕方ないとか、外来が多いのでじっくりは説明できないという“おごった考え方”が元凶だったのかも知れません。ですので長い間、医療機関は上から目線でやってこれたのでしょうが、これからは違います。

利用者である患者さんを中心にして、効率的かつ効果的に医療や応対を心がけるべきです。テクノロジーが生み出した余った時間を、顧客である「患者さん」のために活用するべきなのです。これが本来の姿であり、私の提唱する医療マーケティングの考え方でもあります。

先生のクリニックもこのような未来に向けて、院内環境や考え方を変えていって頂きたいと思います。

それではまた次回!


編集後記

実際に文中の未来図を実践しているクリニックさんを何軒か拝見しましたが、本当にセルフチェックイン、チェックアウトですので、流れもスムーズですし、待ち時間も少ないですね。

現状のDXの中で考えると、この仕組みが今後の主流になってくると予測します。ピンときた先生、是非ご検討下さい。

現状を変えるのは勇気がいりますし、周囲(スタッフさん)の反対にも合うと思います。しかし、成功への一つの道であることは間違いないのですから、勇気をもって歩んで頂きたいと心から思います。ブレイブです!

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