こんにちは、東海地方を拠点にする医業経営コンサルタント会社「ブレイブワンコンサルティング」代表の岡本です。
当ブログでは医業経営に関する情報、医業運営に関するご質問、実際に現場で起こっている問題について私なりの提案をさせて頂いております。最後までお付き合い頂ければ幸いです。
未来予想図とは?
今年の8月に「医療の未来予想図」という記事を書きました。
要点をかいつまんでお話しますと、
- 他の業種から10年ほど遅れている医療界もようやくDX化に向けて始動し始めた。国側も明言しています。
- 今までは「医療機関だから、仕方ないでしょう!」的な顧客中心ではない発想だった医療界が、顧客の利便性をより高める方向に舵をきってきた、意識が変わろうとしています。
- 提供者側(メーカー、業者側)が先行して、利便性を高める製品や仕組みを提供し始めている。この流れはトレンドになりつつある。
- このトレンドに乗れない医療機関は、淘汰されていく。
ざっとこんな内容です。首都圏などで意識の高い先生方はすでに取り組んでおられますが、何もしなくても従来の方法で患者さんが来院する(競争が乏しい)地方の医療機関には関心がない話だと思います。
しかし何度も申しますが、この流れは間違いなく進み何年後かにはスタンダードになるでしょう。その時になって慌てて取り組み姿は正直見たくないものです。
これが医療の近未来予想図です。
さらに進むDX化
ところで、DXの話をすると必ずこういう反論が出てきます。
「DXとか、AIとかITとか、何でもかんでも機械に頼ろうとする。医療は人間が行うのが一番満足度が高いんだよ」
読者の方もそう思っていますか?(笑)
確かに人間が行う部分が多いのが医療ですね。そして機械ではなく、人間に触れて欲しい、人間と話がしたいというのは間違っていません。しかしそういう極論的な考えが医療の、患者さんへの満足度を下げてきた諸悪の根源であるのも事実なのです。
医療従事者の間違ったプライド、医療従事者のIT機器への認識とスキルの遅れ、患者さん第一と言いながらそうではない考えなどが医療DXを遅らせてきたのは間違いないのです。
歴史を振り返っても、人間は必ずより便利なもの、より快適な方向に間違いなく向かいます。医療も例外ではありません。
患者さんが今まで我慢して来たこと、例えば、
- 待ち時間
- 痛みのある検査
- 診察時の恥ずかしい状態
- 不遜な医師の態度や言動
こういう患者が感じていた理不尽さや不便さが、DXや適切な競争により解消されていくと予想します。これが未来予想図です。
身近になったAI診断
アイリスというベンチャー企業がユニークな検査機器「Nodoca(ノドカ)」を発売しています。
従来のインフルエンザ迅速診断検査キットは、鼻の奥に綿棒を挿入して検体を採取していました。先生方はご自身で行ったことがあるとは思いますが、一瞬とはいえこれが痛い、つんとくる、くしゃみが出ます。好きという方はほぼいないと思います。しかしこれしかないので我慢するしかない。
しかしNodocaは喉の画像診断で、インフルエンザの陽陰性判定が出来るのです。さらに厚労省が保険点数をつけました。つまり、国のお墨付きで、あの「痛み」から解放されるのです!ベンチャーならではですが、顧客の声、不満の解消を見事に解消する発想だと感心しました。
実際の使い勝手や精度、コストパフォーマンスなどに関してはこれからかも知れませんが、こういう着眼点、発想、そして行動力が嬉しいと感じています。
日本の10年先をいくアメリカでは、ヘルステック産業が活発になっています。すでに多くの便利な製品やサービスも市販化されているようです。IT界の巨人であるGoogleやAmazonも医療・健康分野にはかなり注力しています。
どんな便利なものが出てくるか、本当に楽しみですね。
まとめ
今日は「医療未来予想図Ⅱ」というテーマでお話させて頂きました。いかがだったでしょうか?
先生方には耳の痛い話もあったと思いますが、DXや顧客サービスという面では間違いなく医療界は遅れています。資格というハードルがある医療だからこそ経営出来たし、許されていたというのが事実だと思います。
制度は違えどアメリカ型を追随していくでしょうし、我慢を強いない医療界になっていくでしょう。より便利により快適な医療サービスを提供する医療機関が生き残っていくと予測されます。
電子カルテを含め、すぐに切り替えがしにくい環境ですが、未来を見据えた経営を考えていって欲しいと心から願います。
それでは、また次号で。
編集後記
最後までお読み頂き、本当に有難うございました。
早いもので、この前夏の暑さに文句を言っていたらもう年末ですね。まさに光陰矢の如し、うかうかしていると時間だけ過ぎて・・・という事になりかねません。
私は本が人生で一番好きなものですが、この前どれくらい今までに読んだかな~と数えてみました。もちろん記録も記憶もないので、概算を計算しただけですし、雑誌やコミックも入れてですが、何と年間250冊で、人生では1万冊以上は軽く読んでいることに驚きました。
この1万冊がいろいろな事を教えてくれて、楽しさも与えてくれたんだなと改めて感謝しました。本は言い換えれば”人”ですので、来年も先生方に良き人との出会いがある事をお祈りしながら、今年最後の言葉に変えさせて頂きます。良いお年をお迎えください。