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アメリカの薬価値下げ

こんにちは、医療コンサルタント「ブレイブワンコンサルティング」代表の岡本です。

東海地区をメイン市場にしながら、各先生方や薬局経営者と医療DXや診療をどうしたら良いかを日々話合っています。かなり早口で辛口ですが(笑)芯は外しませんので宜しくお願い致します。

今日はお隣のアメリカの医療情勢を見ていきたいと思います。まだ情報は少ないですが、またもトランプ大統領のとんでもないカードが切られました・・・。

トランプの次なるカード”薬価引き下げ”とは?

アメリカの企業は利益第一でまさに生き馬の眼を抜く存在ですが、私たちに縁の深い医薬品産業もまたすごく大きな企業が存在しています。アッヴィ、ブリストルマイヤーズ、アムジェン、イーライリリーなど関係者なら誰でも知っている企業が並びます。

現在アメリカは医薬品市場全世界の約40%というシェアを持ち、世界で最も医薬品が高い国とも呼ばれています。近年日本にもとびぬけて薬価の高い製品が登場してきていますが、ほとんどがアメリカの製品と聞いています。

現在のアメリカのシェアは40%と聞いていますが、これも薬価が飛びぬけて高いという事が大きく関係しています。薬価制度が存在する日本は残念ながら絶対にトップにはなれませんね。

薬は国家の生命を支える大きな市場ですので、戦略的にもここを見過ごしては絶対にいけません。製造から流通、支払いに至るまでありとあらゆる点をしっかりフォローしながら医薬品という仕組みを支えねばなりません。

また中国との関係がいろいろ言われていますが、かなりの差があり市場を完全に抑えています。日本で画期的な新薬とも呼ばれたオブジーボですが、今でも日本の約7倍の薬価で売られたりもしています。

ちなみに少し古いデータですが、2017年にアメリカのロビー界は11,000人以上のロビーストを有する31億ドル(ざっと4,500億円!)産業で、ロビー活動支出のトップ産業は、医薬品・健康製品、保険、電気産業、エレクトロニクス製造・機器、石油・ガス、一般製造・流通、、教育、医療施設・養護施設、通信サービス、証券・投資、不動産、公務員・官公吏、医療従事者、航空輸送、軍事防衛・宇宙工学、自動車などがあり、医薬品業界はトップに名を連ねているそうです。

そしてこの中でトランプ氏は、何とトップクラスの医薬品産業に今回ターゲットを絞ってきました。

「関係諸国(EU、韓国、日本が代表的)はアメリカにただ乗りしている!適正な流通に戻す!」

こう言い放ち、大統領令にサインをしたということです。もちろん日本とは違い、自由な経済の元で販売されているのですぐにどうこうはないと思いますが、トランプ氏がどう考えてこの案を出したかが不明なうちは安易な思いは考えないほうがいいでしょう。

また「なんか病気のある人が困るだけでしょ?」と思いがちですが、こういうようなシンプルな内容ではなく、確実に全員に響いてくるかも知れない恐ろしいサインであるかも知れないのです。

もし日本に肩代わりさせるとどうなる?

腕組をする医師

もしこの案が本当に日本に影響があるとすると、一体どういう事が起きるのでしょうか?

アメリカのロビー活動にまで手をまわしている?としたら、米産業への被害は決して与えずに減った国内分は外国に全て持ってもらうのが一番シンプルな方法です。トランプ関税などで請求してくるのは目に見えていますね。

しかもアメリカのとの約束により薬価は下がらないでしょうし(少し下げるなら初めの薬価に当然盛り込みますよね)、小さな市場ではあるでしょうが、今の日本の状態(3割負担+高額療養費制度)では受け入れることになると思います。

今も一部の薬価の非常に高い医薬品に薬価制度は悲鳴を上げていますが、この頻度とレベルがかなり高くなると思います。

ところで今日本で一番高い医薬品をご存じですか?

それはノバルティスファーマ株式会社の脊髄性筋委縮症「ゾルゲンスマ」で、何と1億6707万円7222円!

ヒェエ~もう凄いより、怖い!

もとはスイスの会社ですが、凄まじい値段ですね。かなり特殊な薬で、SMN遺伝子(運動神経を維持する蛋白質)の異常によって筋力低下や筋委縮が起こる病気だそうです。10万人に2~3人程度の発症率で、発症時期が早いほど重症化します。

生後6カ月までに発症する最も重症のタイプでは、人工呼吸器を用いなければ95%の患者さんが生後18カ月以内に命を落とすといわれています。ゾルゲンスマは問題となる「SMN遺伝子」を補充する薬で、脊髄性筋委縮症患者さんの生命予後や運動機能が改善されると期待されています。
 
治療対象となるのは、2歳未満で体重2.6kg以上の患者さんです。1回の投与で済むのが特徴です。2020年ではありますが、日本において25人患者がいて、販売額として42億円が見込まれているとのこと。

値段に驚かされて話が違う方向にいってしまいましたが、ここまでいかないにしてもかなり高い新薬が日本市場で売られるかも知れません。

おそらく日本人は言いなりで・・・

日本も変わらないといけないのか?

超大国アメリカのトランプだからこうなんだ!と言えますが、今後世界の垣根は益々低くなり、自国だけ良ければという考えももっと通用しなくなることが予想されます。

反面薬価制度のようにそれが出来た我が国の歴史もありますし、簡単に外国のやり方にすぐに対処出来るかと言われれば大いに疑問でもあります。問題はあるものの、総合的に見れば素晴らしい制度だといえます。そういう意味でも非常に難しい問題だと思います。

しかし一つ言えることは、我が国の問題なんでほっといて、とは言えない環境に世界はなっているということです。インターネットがどんどん普及し、世界の垣根はなくなりつつあります。

また日本が素晴らしいと聞けば、その人は必ず観光に来るでしょう。そして友人に一生懸命良かった点を話し、またその友人が何人かの人と一緒に来ます。この動きは決して止められません。私自身も数年前と比べても、海外の知識は年を増すごとに増えていきます。

この先どう変わるかはわかりませんが、少なくとも私たちは良いと思うものを良いと言えるような気持ちは持っておきたい。

医療も同様にこの先5年で大きく変わると思います。wen予約や問診が主流になり、医療を提供する側はより患者さんを診れるようになっていくでしょう。

「昔の病院って酷かったね。今思うと・・・」

こう言える未来はもう少し。わからない事もたくさんありますが、夢を忘れずに挑戦していってほしいと思います。

それでは、また次号でお会いしましょう!


編集後記

今日のブログはいつもと違い、先日Youtubeで見た「日本の薬事情」を中心に書かせて頂きました。アメリカに言われれば簡単には断れない、そういう関係をまた嫌が応にも思い知らされた気がしますね。

話は変わりますが、天候が良いので半年越しのランドナー(長距離用の自転車)を直してまた載ってみようかな。これから約1か月は雨が多くなってくるので、お天気の良い日を探してまた田んぼ道や市街地を乗ってみますね。


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