働き方の変化と採用動向
スタッフ選定の話の前に、最近の働き手の意識変化と採用戦線の現状をお話しておきましょう。
働き方改革と言われ出して何年か経ちましたが、その間の社会情勢の変化や就職する側の若い世代の意識は大きく変わってきました。先生方もメディアなどでもご存じかと思いますが、実際の採用に携わっている私が感じる事とはかなりリアリティが違うのではと想像します。
まず感じる事は、Z世代を筆頭に若者の価値観が大きく変わっている点。
お若い先生ならある程度理解出来るかも知れませんが、そうでないと認識ギャップは半端ではないのです。詳しくお話するとかなりの紙面を割きますので割愛しますが、価値観と考え方の違いをしっかり理解しておく(理解出来ませんが・・・)必要があります。
そして2点目は就職戦線の状況です。2023年7月時点ですが、コロナ禍から経済は復活し需要は急増しているのが現状。おそらく都市部、地方問わずだと思います。つまり、募集しても応募がない・・・というちょっと恐ろしい事態になっています。
正確なデータはありませんが、比較的不況に強い医療界は好況期に敬遠されがち?なのかと思わざる得ないような状況。それを見越した人材紹介系の業者さんの営業が、昨年に比べて倍増した感覚があります。
簡単に見つかると思わない方がいいですよという事ですね。
スタッフの重要性
改めて申し上げますが、医療は医師一人では成り立ちません、絶対に。この点をしっかり落とし込んで採用に臨んで頂きたい。
web予約、問診、受付、電話対応、会計、業者さん対応、その他諸々、たくさんの業務を先生だけでこなせる訳がありません。また表面には出ませんが、クリニック運営上の雑務はごまんとあります。
「でも私は人当たりもいいので、私が頑張れば大丈夫!」
もしこういう考え方をしているようなら、改めて頂いた方が良いと思います。クリニックの顔はもちろん”先生”であることは、周知の事実。もちろんそうなんですが、良いスタッフが頑張ってくれるからこそ、クリニックも良くなるのです。
スタッフが大切だと口では仰る先生は多いのですが、そのクリニックの待遇を見れば本心かどうかはすぐにわかります。医療は労働集約産業であり、クリニックにおけるスタッフのウェイトは益々増えていきますので、大切さを噛みしめて頂きたいと強く思います。
スタッフ採用について
新規開業はもちろん、開業後も採用問題はずっとつきまといます。特に女性の多いクリニックさんは、どうしても勤務年数が短くなりがち。就職市場の動向には注意を払っておかねばなりません。
新規開業の場合は募集~採用までの時間的なゆとりがありますし比較的人も集まりやすいので、余裕という面ではまだ良いかも知れません。ただ良い人材を採用する為には面接が重要となりますので、採用基準やどういう面接にするのかなどをしっかり検討しておく必要があります。
今は開業前のホームページ(ランディングページ)を用意する場合が多いので、そのページで欲しい人材などをアピールしておくと良いと思います。
既存先の採用に関して一番困るのが、急な離職。新規開業と違い時間的な余裕がなく、早急に採用しないと業務に支障をきたすケースですね。残念ながらこの問題の特効薬はありませんが、いくつか手は打っておけます。
- まずは辞めない環境作りを常に心がける事。前項なども申し上げたように、スタッフあってのクリニックですので物心両面充分なケアをすることです。お金や待遇だけでなく、心のつながり(互いの信頼感、尊敬など)と仕事のやりがいを持てる職場環境作りをしておくことです。
- 心のつながりを持てる関係とは、適切なコミュニケーションをとれているかという事でもありますので日頃の会話や、個人面談なども充分に時間をとって頂きたい。
- 適正人員が経営上は好ましいですが、多少余剰な状態を作っておくのが得策かと思います。
魅力的な職場作りは永遠のテーマですが、そういう職場は患者さんにも伝わりますので、経営上も有利になると思います。
まとめ
スタッフ採用、マネジメントについてお話させて頂きました。いかがだったでしょうか?
開業医のお悩み問題としては、おそらく不動のNO1ではないかと考えます。難しい問題ではありますが、きちんと対処すればやりがいを持って働いてくれて、クリニックを盛り上げていってくれるかけがえにない存在でもあります。
逃げずに、誠意をもって真剣に対処すれば大丈夫です。