医療機器に対する考え方
病院で使っていた医療機器くらいは、やっぱり必要だよね? どうせ導入するなら、最初に入れたいし。
良い診療をするために「医療機器」はなくてはならないものです。電子カルテに始まり、超音波・レーザー・ファイバースコープ等々。CTやMRIも欲しくなるかも知れません。今まで病院では当たり前のように使っていましたが、これからはご自身で準備しなくてはなりません。
新規開業だし、自分の使いたい機器、性能の高い機器を導入したい。このお気持ちはよくわかります。でも・・・投資金額が大きいので、結構失敗しがちなんです。ありがちな失敗事例を挙げてみましょう。
新規開業時の過剰設備投資
新規開業時は土地から始まり、建築関係など非常に高額な商談が増えます。いつのまにか金銭感覚が麻痺して、不適切な過剰投資(不相応な機器購入など)をすることが多いのです。100万~200万なんてカルいなあって感じで。こんな感じですと、あっという間に数千万円上乗せされます。
クリニックは病診連携が基本ですので、詳しい検査は高性能な機器を持つ病院に任せ、ある程度の機器を準備すれば十分のはずです。しかし金銭的感覚の麻痺、機器会社やコンサルタント、卸の誘導にのってしまい、無駄に高い医療機器を買ってしまうことが結構あります。
また先生自身の拘りで購入するケースもあります。拘りを持つ自体は良いことですが、開業資金と照らし合わせながら考えていかないと予算オーバーになってしいまいます。支払うのは先生で、後々経営に重くのしかかってきますので当初の基本構想を決める時に、医療機器についても考えて決めておかねばなりません。
病院時代からの懇意のメーカーに拘った事例
どの先生にも、勤務医時代から懇意の医療機器営業マンがみえるでしょう。開業することを知れば「先生、開業しても弊社の機械を使って下さいね!」これは営業マンなら当然のアプローチではありますし、優秀な営業であるほど押さえたいところですね。新しい販路が広がりますからね。でも結構これでハマってしまうことがあります。
そのメーカーで揃えれる範囲は揃えようか、こう思うこと自体何も悪くないと思います。義理人情も大切ですしね。しかし、その優秀な営業マンがずっと担当するとは限りません。また病院の方が売り上げが大きいし、一旦購入したら少なくとも5年は再購入はない。自然と足が遠のき、情報も入ってこなくなることも多いのが開業医の現実です。
また一括購入で安くなることもあれば、そうでないケースもあります(人間関係を武器に、利益をがっつり取られるという意味です)。義理堅いのも大変重要なところですが、少し冷静になって客観的な判断もいりますよ。今までは病院が支払っていましたが、今度はご自身になりますから。
機器購入時の注意点
医療機器は競合会社が数社くらいしかないと思います。例えば電子カルテ・レセコン。一般的にはPHC、日立、湯山、デジカル、そしてダイナミクスとあと数社。これは未だ多いほうで、2~3社という競合が一般的です。
機器の性能、使い勝手、コスト、アフターなどが選択肢になると思いますが、5年~7年くらい使うことを考えると、性能に大きな差がなければ私はアフターケアを特に重視したいところです。性能はほぼ横並び、価格はレセコンならデジカル、ダイナ、使い勝手は好み、アフターは結構各社で差があります。保守料金もです。あまり大きくない性能の差や、価格に走ってしまうと後々後悔します。私もたくさんこのような例を見てきました。充分お考え下さい。
金額を含めたアフターサービスを優先しますが、これはどれかを取るならという場合ですので、当社は全項目のバランスを見ながら、5年スパンの交渉をして参ります。
まとめ
医療機器にも買い方のセオリーがございます。医療機器メーカーは自社の良いところしかPRしません。
実際に一流ブランドの製品ですが、不調が頻発しクレームを入れても充分な対応をしてくれないメーカーもありました。何百回と交渉をしてきた第三者のアドバイスを聞かれることを、強くお勧め致します。